オム・ユヴァンナー(Prof. Om Yuvanna)
カンボジア王立ブノンペン芸術大学 付属芸術学校古典舞踊科教授
1952年、宮廷舞踊の踊り手の娘として生まれ、幼少期から舞踊を習う。
アプサラ(天女)やソバンマチャー(人魚姫)役などの踊り手として活躍する。
ポル・ポト時代(1975~79年)は強制労働に従事。
1980年より生き残った数少ない関係者の一人として、カンボジア文化省芸能局に所属、国内外の舞台を務める。
1999年に第一線を退き、現在は後進の育成に励んでいる。
第二次世界大戦後、植民地から念願の独立を果たしたものの、揺れる世界情勢の中で、カンボジアの市民社会は弱いものでした。
権力を武力で奪い取った一部の人たちが、言論や行動の自由・人権を弾圧し、嫉妬・憎悪・猜疑心から同一民族を虐殺、1975年に恐怖のポル・ポト時代を引き起こしました。
その後の社会主義政権時代、そして1993年の総選挙以降、急激に資本主義化してきた今日まで、常に社会には何らかの問題があり、ユヴァンナー先生の人生は決して楽ではないようです。
舞踊家としてユヴァンナー先生は、他の多くのカンボジア人と同じように、出来ることを精一杯してきただけかもしれません。
しかし、幾多の物質的・精神的な試練を経て、なお先生は天上界について、このように語り続けるのです。
命ある手を持って踊りなさい。
ひそやかに息をするように、神話の大蛇ナーガが這うようにね。
風に吹かれる樹のように、柔和に、でもしっかりと力を込めるのよ。
心を天の花園にいるような心地良さに合わせながら、目元を高い空のように晴れ晴れとさせなさい。
その穏やかで、品のある佇まいに、いつも迷いの多い私は力付けられるのです。
ユヴァンアー先生の舞踊家としての背景は、以下に紹介しています。